
人材派遣と人材紹介の違いとコスト比較
「人材派遣」と「人材紹介」は名前が似ていますが、仕組みもコストの発生の仕方もまったく違います。派遣は人を借りるサービス、紹介は人を採用するサービスです。どちらを選ぶかで、費用構造も、雇用の責任も変わります。この記事では、人材派遣と人材紹介の違いを整理し、コストの比較と使い分けの考え方を、採用する企業の立場で解説します。
目次
人材派遣と人材紹介の基本的な違い
まず、それぞれがどういうサービスかを整理します。混同されがちですが、根本的に異なるものです。
- 人材派遣:派遣会社が雇用しているスタッフを、自社に派遣してもらうサービス。スタッフは派遣会社の社員で、自社は「人を借りて働いてもらう」立場になる
- 人材紹介:紹介会社が候補者を紹介し、自社が直接雇用するサービス。採用が決まれば、その人は自社の社員になる
ひとことで言えば、派遣は「人を借りる」、紹介は「人を採用する」という違いです。この違いが、雇用関係にもコストにも影響します。名前が似ているために「どちらも人材会社に人を紹介してもらうサービス」と一括りにされがちですが、実際には自社にとっての意味がまるで異なります。派遣で来た人はあくまで派遣会社の社員であり、契約が終われば去っていきます。紹介で採用した人は自社の社員となり、長く一緒に働く仲間になります。この根本的な違いを押さえておくことが、正しい選択の第一歩です。
雇用関係の違い
最も本質的な違いは、働く人と誰が雇用契約を結んでいるかです。
- 派遣:スタッフの雇用主は派遣会社。給与の支払いや社会保険は派遣会社が行う。自社は業務の指示を出すが、雇用の責任は負わない
- 紹介:採用した人の雇用主は自社。給与・社会保険・労務管理はすべて自社が担う
この違いから、派遣は「必要な期間だけ人手を確保したいとき」、紹介は「長く働いてもらう人材を採用したいとき」に向く、という基本的な性格が生まれます。
コスト構造の違い
費用の発生の仕方も、両者でまったく異なります。ここを理解することが、コスト比較の出発点です。
- 派遣:スタッフが働いている間、継続的に派遣料金を支払う。時給に派遣会社のマージンを乗せた金額を、働いた時間分だけ払う
- 紹介:採用が決まったときに一度だけ紹介料を支払う。相場は理論年収の30〜35%。その後は自社が給与を払う
つまり、派遣は「使い続ける限り費用がかかり続ける」ランニングコスト型、紹介は「採用時に一度大きな費用がかかる」イニシャルコスト型です。期間が長くなるほど、派遣の総額は積み上がるという点が、コスト比較の重要なポイントです。この違いは、家を「借りる(賃貸)」か「買う(購入)」かに似ています。短く住むなら賃貸が身軽ですが、長く住むなら購入したほうが総額で得になることがある——派遣と紹介の関係も、まさにこの構図です。
項目別・比較早見表
主な項目で両者を並べました。実際の条件はサービスや職種により異なります。
| 項目 | 人材派遣 | 人材紹介 |
|---|---|---|
| 雇用主 | 派遣会社 | 自社 |
| 費用の発生 | 継続(派遣料金) | 採用時に一度(紹介料) |
| 費用の目安 | 時給+マージン | 理論年収の30〜35% |
| 雇用の責任 | 派遣会社が負う | 自社が負う |
| 向く期間 | 短期・一時的 | 長期・定着前提 |
| 人材の見極め | 働きぶりを見られる | 選考で判断 |
派遣のコストの考え方
派遣の料金は、スタッフの時給に派遣会社のマージン(管理費・社会保険料など)を乗せた金額です。マージン率はおおむね30%前後が目安とされます。たとえば時給1,500円のスタッフなら、派遣料金は時給2,000円前後になるイメージです。
派遣のコストで意識すべきは、使い続ける限り費用が発生し続けることです。短期間なら割安でも、1年、2年と使えば総額は大きくなります。長期にわたって同じ人に働いてもらうなら、どこかで直接雇用(紹介)のほうが総額で安くなる分岐点が来ます。
なお、派遣には「登録型派遣」と「常用型(無期雇用)派遣」があります。登録型は、仕事があるときだけ派遣会社と雇用関係を結ぶ一般的な形です。常用型は、派遣会社が正社員などとして常時雇用しているスタッフを派遣するもので、専門性の高い職種で使われます。常用型のほうが単価は高くなる傾向がありますが、安定した人材を確保しやすいという特徴があります。自社が求める人材のレベルや安定性に応じて、どちらの派遣かも確認するとよいでしょう。
紹介のコストの考え方
紹介の費用は、採用が決まったときに支払う紹介料です。相場は理論年収の30〜35%で、年収500万円なら約175万円。一度の支払いは大きいものの、その後は自社が通常の給与を払うだけで、追加の紹介料はかかりません。
紹介のコストで意識すべきは、この初期の大きな支払いです。まとまった採用予算が必要になるため、資金の準備が課題になります。一方で、長く働いてもらえれば、1回の紹介料は年月で薄まり、費用対効果は高まります。たとえば、175万円の紹介料を払って採用した人が5年働いてくれれば、1年あたりの採用コストは35万円、月あたりにすれば3万円弱です。こう考えると、定着してくれる人材の採用は、決して高い買い物ではないことが分かります。逆に、すぐ辞められてしまえば、この投資は回収できません。だからこそ、採用時の見極めと、入社後の定着への取り組みが、紹介の費用対効果を大きく左右します。紹介料の相場や仕組みは 中途採用の紹介手数料の相場 で詳しく解説しています。
コストが逆転する分岐点
派遣と紹介の総コストは、「どれだけの期間、その人に働いてもらうか」で逆転します。この分岐点を意識すると、どちらが得かを判断しやすくなります。
簡単なイメージで考えてみます。年収500万円の人を採用する場合、紹介なら紹介料は約175万円。一方、同じ人を派遣で確保すると、派遣料金には派遣会社のマージンが乗るため、直接雇用より月々のコストが高くなります。仮に直接雇用より月10万円ほど割高だとすると、18ヶ月ほどでその差額が紹介料に追いつく計算になります。つまり、1年半以上その人に働いてもらうなら、紹介(直接雇用)のほうが総額で安くなる、というイメージです。
もちろん実際の数字は条件によって変わりますが、ポイントは「長く働いてもらうほど紹介が有利、短期なら派遣が有利」という関係です。採用しようとしているポジションを、どのくらいの期間必要とするのか——ここを見極めることが、コスト面で正しい選択につながります。
派遣の期間制限(3年ルール)
派遣を選ぶ場合、知っておくべき重要なルールがあります。労働者派遣法では、同じ事業所の同じ組織単位で、同じ派遣スタッフを受け入れられる期間は原則3年までと定められています(いわゆる「3年ルール」)。
これは、派遣という働き方が本来「一時的・臨時的」なものであるという考え方にもとづくものです。3年を超えて同じ人に同じ部署で働いてもらいたい場合は、直接雇用に切り替えるなどの対応が必要になります。つまり、派遣は長期の人員確保には制度的にも向いていないということです。
「派遣で来てもらった人が優秀で、ずっと働いてほしい」という場合、この期間制限が壁になります。長期を前提とするなら、はじめから紹介で直接雇用するか、紹介予定派遣を使うほうが、制度面でもスムーズです。派遣の制度は改正されることもあるため、最新のルールは確認しておきましょう。
それぞれのメリット・デメリット
ここまでの内容を、メリット・デメリットとして整理します。
人材派遣
- 必要な期間だけ人手を確保できる
- 雇用の責任・労務管理は派遣会社が負う
- 採用の手間がかからず、すぐ人を確保できる
- 働きぶりを見られる(紹介予定派遣なら採用も可)
- 長期は割高・3年ルールの制約がある
人材紹介
- 長く働く人材を直接雇用できる
- 長期で見れば総コストを抑えやすい
- 選考で人材を見極められる
- 採用時にまとまった紹介料が必要
- 雇用・労務管理は自社が担う
どちらが優れているという話ではなく、目的(一時的な人手か、長く働く仲間か)に合っているかで選ぶのが正解です。
ケース別・どちらが向いているか
費用構造を踏まえると、状況に応じた向き不向きが見えてきます。
- 繁忙期だけ人手が欲しい:必要な期間だけ確保できる派遣が向く
- 産休・育休の一時的な補充:期間が限られるなら派遣が合理的
- 長く働く中核人材が欲しい:直接雇用する紹介が向く
- 専門スキルを持つ人を採りたい:選考で見極められる紹介が向く
- 雇用の責任や労務管理を負いたくない:派遣会社が雇用主となる派遣が向く
「一時的な人手か、長く働く仲間か」——この軸で考えると、どちらを選ぶべきかが見えてきます。実務では、両方を組み合わせる企業も多くあります。たとえば、繁忙期の一時的な人手は派遣で補い、事業の中核を担う人材は紹介で採用する、といった使い分けです。派遣と紹介は対立するものではなく、それぞれの強みを活かして役割分担させることで、必要な人員を、無理のないコストで確保できます。求人広告との比較も含めた手法選びは 人材紹介と求人広告、費用対効果の比較 を参照してください。
紹介予定派遣という選択肢
派遣と紹介の中間にあたるのが「紹介予定派遣」です。これは、一定期間派遣として働いてもらい、双方が合意すれば直接雇用に切り替えるという仕組みです。
- 働きぶりを見てから採用できる:派遣期間中に適性や相性を確認できるため、採用のミスマッチを減らせる
- 本人も職場を確かめられる:入社前に職場を知れるので、双方の納得度が高い
- 直接雇用時に手数料がかかる:正式に雇用する際には、紹介手数料に相当する費用が発生することが多い
「採用したいが、いきなり直接雇用は不安」という場合に有効な選択肢です。ただし、派遣期間中の派遣料金と、直接雇用時の手数料の両方がかかる点は理解しておきましょう。とはいえ、採用のミスマッチによる早期退職のリスクを考えれば、事前に相性を確かめられるメリットは大きいと言えます。とくに、選考だけでは見極めにくい実務能力やチームとの相性を重視したい場合には、有力な選択肢になります。
紹介の費用負担を平準化する
紹介を選ぶ場合、採用時にまとまった紹介料が一度に発生します。長期で見れば費用対効果は高くても、その一度の支払いが資金繰りの負担になることがあります。とくに複数名を同時に採用すると、負担は大きくなります。
こうしたとき、紹介料を分割して支払う方法があります。紹介料を分割払いにできるサービスを使えば、総額は変えずに単月の負担を平準化でき、まとまった採用予算がそろう前でも採用に踏み切れます。派遣のように月々のコストが続くわけではなく、紹介料の支払いが終われば、あとは通常の給与だけになります。つまり、分割払いは「派遣のような月々払いの感覚で、直接雇用のメリットを得る」という使い方もできます。仕組みは 採用の紹介料を分割払いにする方法 で解説しています。
一括払い
175万円
12ヶ月分割
月 14.6万円〜
※紹介料175万円・12ヶ月分割の場合の目安。保証料は別途。
紹介の費用を、月々に均したいなら
PD for HR は、採用時の紹介料を最大12ヶ月の分割払いにできるサービスです。担保・保証人は不要。長く働く人材の採用を、資金繰りに無理なく進められます。
PD for HR に相談するよくある質問
人材派遣と人材紹介はどちらが安いですか?
期間によります。短期なら派遣が割安ですが、長く使うほど派遣料金は積み上がります。長期で同じ人に働いてもらうなら、採用時に一度紹介料を払う紹介のほうが、総額で安くなる分岐点が来ます。
派遣スタッフを直接雇用に切り替えられますか?
切り替えられますが、派遣会社との契約により、直接雇用時に紹介手数料に相当する費用が発生することが一般的です。最初から直接雇用を見据えるなら、紹介予定派遣という仕組みもあります。
雇用の責任を負いたくない場合はどちらがいいですか?
派遣です。派遣スタッフの雇用主は派遣会社であり、給与の支払いや社会保険、労務管理は派遣会社が担います。自社は業務の指示は出しますが、雇用の責任は負いません。
採用のミスマッチが心配です。
紹介予定派遣なら、一定期間派遣として働いてもらい、双方が合意してから直接雇用に切り替えられます。働きぶりを見てから採用できるため、ミスマッチを減らせます。
紹介料の一度の負担が大きくて踏み切れません。
紹介料を分割払いにできるサービスを使えば、総額は変えずに単月の負担を平準化できます。長く働く人材の採用を、まとまった予算がそろう前でも進められます。
派遣は同じ人にずっと来てもらえますか?
労働者派遣法により、同じ事業所の同じ組織単位で同じ派遣スタッフを受け入れられる期間は原則3年までです。それを超えて働いてもらいたい場合は、直接雇用への切り替えなどが必要になります。長期前提なら紹介が向きます。
派遣と紹介は併用できますか?
できます。繁忙期の一時的な人手は派遣で補い、中核人材は紹介で直接雇用する、といった使い分けは合理的です。それぞれの強みを活かして役割分担させると、必要な人員を無理のないコストで確保できます。
まとめ
- 派遣は人を借りる(継続コスト・雇用主は派遣会社)、紹介は人を採用する(一度のコスト・雇用主は自社)
- 短期は派遣が割安だが、長期になるほど派遣の総額は積み上がる
- 一時的な人手は派遣、長く働く人材は紹介、と期間で使い分ける
- 紹介の一度の負担は、分割払いで平準化できる。中間には紹介予定派遣もある
この記事について
PD for HR は、PROTOCOL, Inc. が運営する、人材紹介の紹介料を分割払いにできるサービスです。本記事は採用実務の一般的な情報を整理したもので、個別の会計・税務・契約の判断は、各サービスの規約および専門家にご確認ください。
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