
オンボーディングで早期離職を防ぐ方法
せっかくコストをかけて採用した人材が、入社後まもなく辞めてしまう——この早期離職は、採用への投資を無駄にする大きな損失です。それを防ぐ鍵が、入社後の受け入れ「オンボーディング」です。入社直後の過ごし方が、その人材が定着するかどうかを大きく左右します。この記事では、オンボーディングの重要性と、早期離職を防ぐための具体的な進め方を、採用担当者向けにわかりやすく解説します。
目次
オンボーディングとは
オンボーディングとは、新しく入社した人が、組織にスムーズになじみ、早く戦力として活躍できるように支援する、一連の受け入れの取り組みです。入社時のオリエンテーションだけでなく、業務の教育、人間関係づくり、定期的なフォローなど、入社後の一定期間にわたる支援全体を指します。
採用というと、内定を出して入社してもらうまでを指すと思われがちですが、良い採用は、入社後のオンボーディングまで含めて完成します。どれだけ優秀な人材を採用しても、入社後の受け入れが不十分で、早期に離職してしまえば、採用は失敗に終わります。オンボーディングは、採用した人材が定着し、力を発揮するための、採用プロセスの最後の、そして重要な仕上げなのです。採用単価の考え方は 採用単価(採用コスト)の計算方法と目安 をご覧ください。
早期離職がもたらす損失
入社した人材が早期に離職すると、企業には大きな損失が生じます。まず、その人材の採用にかけた費用(求人広告費や紹介料)が、無駄になります。さらに、入社後にかけた教育・研修のコストや、受け入れに費やした社員の時間も、回収できません。
損失はそれだけではありません。予定していた人員がいなくなれば、その穴を埋めるために、あらためて採用活動をやり直す必要があり、追加のコストと時間がかかります。また、人が定着しない職場は、残された社員の負担が増え、士気にも影響します。早期離職は、こうした複数の損失が積み重なる、非常にコストの高い問題です。だからこそ、入社後の受け入れに力を入れ、早期離職を防ぐことが、採用の成果を確実にするうえで欠かせません。
早期離職が起きる原因
入社後まもない早期離職は、なぜ起きるのでしょうか。主な原因には、次のようなものがあります。
- 期待とのギャップ:入社前に聞いていた話と、実際の仕事が違った
- 放置される:入社後のフォローがなく、何をすべきか分からない
- 人間関係になじめない:職場に溶け込めず、孤立してしまう
- 成長を感じられない:仕事にやりがいや手応えを感じられない
共通しているのは、これらの多くが、入社後の受け入れ方次第で防げるという点です。早期離職は、「たまたま合わない人を採ってしまった」だけの問題ではなく、入社後のオンボーディングが不十分だったために起きるケースが多いのです。とくに、入社直後の「放置」は大きな要因です。新しい環境で不安を抱える時期に、誰にも相談できず、何をすべきか分からないまま過ごすと、人は早々に「この会社は合わない」と感じてしまいます。原因を理解し、対策を打つことで、早期離職は大きく減らせます。
入社前・入社初日の準備
オンボーディングは、入社日から始まるのではありません。入社前からの準備が、スムーズな受け入れの土台になります。入社前に、必要な手続きや持ち物を案内し、初日の流れを伝えておくことで、新入社員は安心して入社日を迎えられます。内定から入社まで期間が空く場合は、その間の連絡も、不安を和らげるうえで大切です。
そして、入社初日の印象は、その後の定着に大きく影響します。デスクやパソコンなどの環境が整っていない、誰も出迎えてくれない、何をすべきか分からない——こうした初日を過ごすと、新入社員は「歓迎されていない」と感じ、不安が募ります。逆に、受け入れの準備が整い、チームが温かく迎え、初日の流れが明確であれば、良いスタートを切れます。初日に「この会社に来てよかった」と感じてもらえるよう、準備を整えることが大切です。
最初の数ヶ月が重要
オンボーディングでとくに重要なのが、入社してから最初の数ヶ月です。この時期は、新入社員がその会社で働き続けるかどうかを、無意識のうちに見極めている期間だといえます。この期間の過ごし方が、その後の定着を大きく左右します。
この時期に大切なのは、業務の進め方を丁寧に教え、少しずつ仕事に慣れてもらうことです。いきなり多くを任せて放置するのではなく、段階的に業務を覚えられるよう、計画的に進めます。また、小さな成功体験を積ませることで、新入社員は「自分もこの職場で役に立てる」という手応えを得られます。逆に、教育が不十分なまま難しい仕事を任され、うまくいかない経験ばかりが続くと、自信を失い、離職につながります。最初の数ヶ月を、丁寧な教育と適切な業務の割り振りで支えることが、定着の鍵になります。
相談できる相手をつくる
新入社員が早期に離職する大きな要因の一つが、「相談できる相手がいない」ことです。新しい環境では、分からないことや不安なことが次々と出てきます。それを気軽に聞ける相手がいないと、一人で抱え込み、孤立してしまいます。この孤立が、早期離職につながります。
これを防ぐには、新入社員が気軽に相談できる相手を、意図的につくることが有効です。教育担当者を明確に決める、年齢の近い先輩を相談役につける、といった仕組みです。業務のことだけでなく、ちょっとした疑問や、職場での悩みも相談できる相手がいれば、新入社員は安心して働けます。とくに、直属の上司には言いにくいことも、相談役の先輩になら話せる、ということもあります。誰かが自分を気にかけてくれているという安心感が、新入社員を職場につなぎとめます。相談できる相手の存在は、オンボーディングの重要な要素です。
定期的な面談で状態を把握
オンボーディングを効果的に進めるには、新入社員の状態を定期的に把握することが大切です。入社後、定期的に面談の機会を設け、仕事の進み具合や、困っていること、期待とのギャップを感じていないかなどを確認します。これにより、問題が大きくなる前に、早めに手を打てます。
多くの早期離職は、小さな不満や不安が、解消されないまま積み重なって起こります。「仕事がうまくいかない」「人間関係が難しい」「思っていた仕事と違う」——こうした思いを、面談で早めに拾い上げ、対応することで、離職の芽を摘めます。面談では、企業側が話すよりも、新入社員の話を聞くことに重点を置きましょう。本人が何を感じ、何に困っているのかを丁寧に聞き、必要なサポートを提供することが、定着につながります。定期的に気にかけ、対話することが、早期離職を防ぐ確実な方法です。
オンボーディングの計画を立てる
オンボーディングを、その場の対応任せにせず、あらかじめ計画として整えておくことが、効果を高めます。行き当たりばったりの受け入れでは、担当者によって対応にばらつきが出たり、教えるべきことが抜け落ちたりします。入社してから最初の数ヶ月について、いつ、何を、誰が教えるのかを、あらかじめ整理しておくことで、抜け漏れのない、一貫した受け入れができます。
計画を立てる際は、たとえば「最初の1週間で覚えること」「1ヶ月後までに一人でできるようになること」「3ヶ月後に期待する状態」といったように、段階的な目標を設けると分かりやすくなります。新入社員にとっても、いつまでに何ができればよいのかが明確になれば、安心して業務を覚えられます。また、この計画は、一度つくって終わりではなく、実際に受け入れてみて気づいた点を反映し、改善を重ねていくことが大切です。受け入れの経験を組織の財産として蓄積することで、オンボーディングの質は年々高まっていきます。
受け入れる側の意識をそろえる
オンボーディングの成否は、受け入れる側の職場全体の意識に大きく左右されます。どれだけ立派な計画を立てても、現場の社員が「新人の面倒を見るのは面倒だ」と考えていては、温かい受け入れは実現しません。新しく入った人を、チーム全体で迎え入れ、育てていくという意識を、職場全体で共有することが大切です。
そのためには、なぜ早期離職を防ぐことが重要なのか、受け入れにどんな意味があるのかを、現場の社員にも理解してもらうことが有効です。新しい仲間が定着し、活躍してくれれば、既存の社員の負担も軽くなり、職場全体にとってプラスになります。逆に、早期離職が続けば、そのたびに採用と教育をやり直すことになり、現場の負担は増える一方です。受け入れは、人事だけの仕事ではなく、自分たちのためでもある——この意識が職場に根づけば、新入社員は自然と温かく迎えられ、定着しやすくなります。組織の文化として、人を大切に育てる姿勢を持つことが、早期離職を防ぐ土台になります。
とくに、新入社員の教育を担う社員には、負担が集中しがちです。自分の業務をこなしながら、新人の面倒を見るのは、簡単なことではありません。教育担当者の努力に任せきりにするのではなく、その負担を職場全体で分かち合い、教育に取り組む社員を、上司や同僚が支える体制をつくることが大切です。教育担当者が孤立せず、安心して新人を育てられる環境があってこそ、丁寧なオンボーディングは続けられます。受け入れる側の社員を大切にし、その頑張りに感謝を示すことが、めぐりめぐって、新入社員の定着につながっていくのです。
オンボーディングはコスト削減になる
オンボーディングに力を入れることは、実は採用コストの削減に直結します。せっかく採用費をかけて人材を採用しても、早期に離職されてしまえば、その費用はすべて無駄になります。さらに、代わりの人材を探すために、追加の採用費と時間がかかります。つまり、早期離職は、二重にコストを生む問題なのです。
逆に、オンボーディングを充実させ、採用した人材が定着すれば、一度の採用費で長期的な貢献が得られます。これは、採用単価を下げること以上に、大きなコスト削減効果があります。「安く採る」ことよりも、「採った人を定着させる」ことのほうが、結果的に採用コストを大きく下げるのです。オンボーディングは、単なる新人教育ではなく、採用への投資を確実に回収するための、経営的にも重要な取り組みだといえます。ミスマッチの防止は 採用のミスマッチを防ぐ方法 もあわせてご覧ください。
採用費の負担を平準化する
採用した人材を定着させるオンボーディングには、教育の時間や、受け入れの体制づくりなど、相応の手間がかかります。そして、そもそも良い人材を採用するには、質の高い採用チャネルへの投資も欠かせません。しかし、人材紹介などを使えば、採用が決まったタイミングでまとまった費用が一度に発生し、資金繰りの負担になります。
こうした採用費を、月々の分割払いにして平準化できれば、資金負担を抑えながら、採用とその後の定着にじっくり取り組めます。まとまった採用費を一括で負担するのではなく、月々に分けることで、手元資金を厚く保てます。採用にかけた費用を、オンボーディングを通じて確実に成果に変えていくためにも、資金の負担をならしておくことは有効です。詳しくは 採用の紹介料・費用を分割払いにする方法 をご覧ください。
採用企業
月 12.5万円〜
紹介料総額
150万円
※紹介料150万円・12ヶ月分割の場合の目安。
採用と定着に、資金を気にせず取り組むなら
PD for HR は、人材紹介の紹介料などの採用費用を、最大12ヶ月の分割払いにできるサービスです。採用した人材を定着させる取り組みを、資金負担を抑えて進められます。
PD for HR に相談するよくある質問
オンボーディングとは何ですか?
新しく入社した人が、組織にスムーズになじみ、早く戦力として活躍できるよう支援する、一連の受け入れの取り組みです。オリエンテーションだけでなく、業務教育、人間関係づくり、定期的なフォローなど、入社後一定期間の支援全体を指します。
早期離職はなぜ起きるのですか?
期待とのギャップ、入社後に放置される、人間関係になじめない、成長を感じられない、などが主な原因です。これらの多くは入社後の受け入れ方次第で防げます。とくに入社直後の「放置」は大きな要因です。
とくに重要な時期はいつですか?
入社してから最初の数ヶ月です。この時期に、業務を丁寧に教え、小さな成功体験を積ませ、相談できる相手をつくることが、その後の定着を大きく左右します。新入社員はこの時期に、働き続けるかを無意識に見極めています。
早期離職を防ぐ具体策は?
入社前・初日の準備を整える、最初の数ヶ月を丁寧に教育する、気軽に相談できる相手をつくる、定期的な面談で状態を把握する、などです。小さな不安を早めに拾い上げて対応することが、離職の芽を摘みます。
オンボーディングはコスト削減になりますか?
なります。早期離職されると採用費が無駄になり、代替採用の追加費用も発生します。採用した人材を定着させれば、一度の採用費で長期的な貢献が得られ、採用単価を下げること以上のコスト削減効果があります。
まとめ
- オンボーディングは採用した人材を定着させ、力を発揮させる受け入れの取り組み
- 早期離職は採用費を無駄にし、複数の損失が積み重なる高コストな問題
- 鍵は入社初日の準備・最初の数ヶ月の丁寧な教育・相談相手・定期面談
- オンボーディングは最も確実な採用コスト削減策。費用は分割払いで平準化できる
この記事について
PD for HR は、PROTOCOL, Inc. が運営する、採用の紹介料・費用を分割払いにできるサービスです。本記事は採用実務の一般的な情報を整理したもので、個別の会計・税務・契約の判断は、各サービスの規約および専門家にご確認ください。
運営:PROTOCOL, Inc./pd.protocol.ooo
※本記事の金額は一般的な目安であり、実際の条件は個別のサービス・契約により異なります。掲載時点の情報にもとづいており、最新の内容は各サービスの公式情報をご確認ください。